『インサイド・マン』(スパイク・リー)

インサイド・マン

惜しい!でも、交渉はしてます。

劇場で予告編を観て面白そう!と思ったものの、劇場に足を運ぶまでには至らなかった『インサイド・マン』、ようやく観ました。

予備知識をなるべく少なくして(多くても予告編まで)観ていたきたいので、詳しい内容には触れませんが、この手の映画で、最近のハリウッドでこれだけよくできた映画もそうはないのではないでしょうか。

派手なドンパチがなくても面白いサスペンス映画は作れるという良い見本。
そして、リメイクや続編ばかりのハリウッドにおいて、こういう映画は貴重ですね。

インサイド・マン デンゼル・ワシントン

書いても問題ないところでは、サンドイッチではなくピザにする理由なんか巧いですね。
こういう細かいところで、フムフムと唸らせられるかどうかで、ずいぶんと違ってきます。

有名でない役者がやってもいいような役で、ジョディ・フォスターやウィレム・デフォーが出てくるあたりは、スパイク・リーの力でしょうか。

ウィレム・デフォーは、珍しく普通にいい人で、ある意味貴重。
でも、『ストリート・オブ・ファイヤー』のレイヴンを思い浮かべると、老けたなぁ…。

インサイド・マン ウィレム・デフォー

ジョディ・フォスターは、『フライトプラン』では観ているだけで腹が立ってしょうがなかったですが(それはある意味成功でしょうが)、今回ははまり役。

別にジョディ・フォスターである必要は全くないものの、この役が彼女以上にはまる役者も考えられず、説得力が違います。

インサイド・マン ジョディ・フォスター クリストファー・プラマー

“強い母親”を演じたいのはもう十分わかったので、『パニック・ルーム』や『フライトプラン』なんかに出てないで、脇でも十分存在感を出せるこのレベルの役をもっともっとやってほしいですね。

ただ、十分面白いんですが、“ひねり”にややインパクトが欠けることと、後半ややだれるのが惜しいところ。

基本的にはアイデア1発勝負の映画で、その点では大成功しているのに、ヘタに話を膨らませようとして、そうきたか!とはなるものの、どうしても蛇足としか思えず…。

そのせいで、決して長さを感じることはないものの、この手の話で129分はやっぱり長い。その点、同じく“交渉人モノ”の『暗戦 デッドエンド』は90分。
この手の映画を観る度に、いかに『暗戦 デッドエンド』が傑作だったかを思い知らされますね。

ただ、某国の交渉人~よりはちゃんと交渉してます(笑)

 

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[原題]Inside Man
2006/アメリカ/129分
[監督]スパイク・リー
[出演]デンゼル・ワシントン/クライヴ・オーウェン/ジョディ・フォスター/クリストファー・プラマー/ウィレム・デフォー/キウェテル・イジョフォー

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