『インファナル・アフェアIII 終極無間』(アンドリュー・ラウ/アラン・マック)

インファナル・アフェアIII 終極無間

『インファナル・アフェア』『インファナル・アフェアII 無間序曲』と来て、このシリーズもついに最終章。

まだご覧になっていない方もたくさんいらっしゃると思いますし、謎解きの映画でもありますので、内容には触れません。
いずれDVDボックスが出た頃にでもまた詳しく書きます。
ということで今回は簡潔に。

オープニング、トニー・レオンとチャップマン・トウのちょっとした会話の後、下っていくエレベーター、被さる音楽、そしてタイトルロール、ここからしてもう鳥肌が立つかっこよさ!

オーディオショップでのラウとヤンの出会いのシーンの“呼吸”も完璧。

前作で新たに加わったフランシス・ンの存在感も抜群でしたが、今回加わった二人も凄い。

当ブログではラブストーリーの傑作『ラヴソング』で登場したレオン・ライ。クールな無表情ぶりがたまりません。

そしてなんといっても、同じく当ブログでは『HERO』に登場したチェン・ダオミン、渋すぎ…。

彼ら二人とトニー・レオンが埠頭で心通わせるシーンは、この映画屈指の名シーン。

1作目ではちょっと浮いていたケリー・チャンも、今回は素晴らしい。

それにしても、2時間緊迫感が続きっぱなしというのは、前2作同様。
これだけ緊迫感が続く映画もそうはありません。

インファナル・アフェア 終極無間 アンディ・ラウ

警察署に皆が“勢揃い”した時の張り詰めた空気、ラウとヨンの攻防、シェンとサムの腹の探り合い、全編唸りっぱなし。

そして何よりも、登場人物たちの心のやりとりがたまりません。
先ほど書いたヤンとヨンとシェンのシーンを筆頭に、ヨンのヤンへの思い(ヤンに投げかけた「俺を覚えているか?」の一言に込められた思いは深い)、ラウのヤンへの思い(鏡を前にしての微笑み!)、リーのヤンへの想い(横たわるヤンを見つめる眼差し)、キョンのヤンへの思い(これがⅠでのあのシーンへと繋がる)、ラウのマリーへの思い(すべてはここから始まった)、などなど。

こうして、登場人物たちの“思い”を軸にして考えると、中心にいるのはヤンということになるのでしょうか。
本作ではどうしてもラウに感情移入して観ることになりますが、次に観る時には、ヤンやヨンやシェンの立場になって観ると、より一層深まるような気がします。

これらのいろんな“思い”が複雑に絡み合い、ラストへと集約していく脚本は、見事の一言。
それにしても、あそこでモールス信号ですか…。

3作に渡って、全編切なさと哀しみに溢れた極上の一大叙事詩。
続編が前作を上回ることなどめったにありませんが、IよりIIが素晴らしく、IIIで全てが見事に繋がって唸るという、稀有な例。
希代の傑作。

「運命は人を変えるが、人は運命を変えられない。だが、彼らは何かを変えた」
~シェンの台詞より~

 

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[原題]無間道III 終極無間
2003/香港/118分
[監督]アンドリュー・ラウ/アラン・マック
[出演]アンディ・ラウ/トニー・レオン/レオン・ライ/ケリー・チャン/アンソニー・ウォン/エリック・ツァン/チャップマン・トー/サミー・チェン/ショーン・ユー/エディソン・チャン/カリーナ・ラウ/チェン・ダオミン

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