『グラディエーター』(リドリー・スコット)

グラディエーター

当たり外れのあるリドリー・スコット監督ですが、これは久しぶりに会心の一作。

戦争の英雄マキシマスは、ローマ皇帝から次期皇帝に指名される。
しかし、皇帝の息子コモドゥスが、皇帝の座を手に入れるためにマキシマスの暗殺を画策。
なんとか生き延びたマキシマスは…。

ラッセル・クロウがオスカーを受賞しましたが、もちろん彼もいいですが、この作品ではホアキン・フェニックスが圧倒的。
観客全員を敵に回す完全な悪役ですが、単なる悪役ではありません。

自分には皇帝に必要な美徳が何一つ備わっていないことをちゃんと自覚している彼。
自分よりマキシマスの方が皇帝に相応しいことは、誰よりもよくわかっています。

しかし、彼が許せなかったのは、父がマキシマスが自分より能力があると思っていたことではなく、自分よりもマキシマスを愛していたこと。

「あなたの愛のためだったら、世界を破滅させることさえしたのに」と、そんなようなセリフを吐く彼ですが、「一度でいいから優しく抱きしめてほしかった」と、そんなことも言います。

そうしたら素直にマキシマスに皇帝の座を譲ったでしょうが、何よりも欲しかった父の愛を最後まで得られなかった彼は、悲劇へとその歩を進めていく…。

グラディエーター ホアキン・フェニックス

この息子の悲しみと淋しさには、憎しみとともに共感もできます。
この難役を見事に演じたホアキン・フェニックスが、この作品をここまでの作品にしていると思います。

戦闘シーンも迫力十分。
コロッセオでの闘いもいいですが、むしろ凄いのは冒頭のゲルマン人との戦争シーン。
血が騒ぐとはまさにこのこと。このシーンの迫力はほんとに凄まじいです。

あとは、コロッセオに実際に入ったことがあるので、今はもうだいぶ崩れていましたが、2000年前にはこんな感じだったのかと、想像を巡らせるのも楽しかったです。

グラディエーター ラッセル・クロウ

日本がまだ竪穴式住居などに住んでいた遥か昔、すでにこんな大建造物を作り、しかもそれが現在まで残っている、いやぁ世界は広いです。

でも、この映画で一番好きなのは実は、ハンス・ジマーの熱い旋律。

そして何よりも、絶対に劇場で観るべき1本。ビデオやDVDではこの映画の良さは半減してしまいます。
機会があれば、ぜひ劇場でご覧になってみてください。

 

グラディエーター (4K ULTRA HD + Blu-rayセット/3枚組)[4K ULTRA HD + Blu-ray]グラディエーター (4K ULTRA HD + Blu-rayセット/3枚組)[4K ULTRA HD + Blu-ray]

Listen on Apple Music

[原題]Gladiator
2000/アメリカ/155分
[監督]リドリー・スコット
[音楽]ハンス・ジマー
[出演]ラッセル・クロウ/ホアキン・フェニックス/コニー・ニールセン/リチャード・ハリス/ジャイモン・フンスー

→予告編 →他の映画の感想も読む

関連記事

ハンス・ジマーのあの旋律が流れない『グラディエーター』なんて、の一言に尽きる。 せっかく「力と名誉を!」の決め台詞が炸裂してるのに、剣をかかげ皆が雪崩れ込んでくるあのタイミングで流れたらブチ上がったのに…。 結果、最初の海か[…]

関連記事

映画秘宝最新号は、「史上最強のサントラBEST200」と銘打って、大々的にサントラが特集されています。 200枚中、当ブログでUP済なのは、以下の7本。 『ドリームガールズ』『タワーリング・インフェルノ』『サブウェイ・パニッ[…]

関連記事

イタリア語を喋るフランコ・ネロの教皇が涙がちょちょぎれるくらい最高! 棺桶を引きずりながら現地に駆けつけたら完璧だったけど、さすがにそれはなかったw さりげなく二人の過去を匂わせる会話があったので、続編よりもむしろ前日譚が観たい[…]