「The Sound of Silence」は反則だろ!(涙)
というわけで、ついに観ました『激戦』!
一つ不満はありますが、ドラマパートがこんなにいいとは!
目玉であるはずのMMAの格闘シーンより遥かにいい。むしろMMA関連の方はあれこれ問題があります。
ドラマパートをもっとじっくりと味わうために、これは日本語字幕付で観たいなぁ。
『エグザイル/絆』等ジョニー・トー映画で見慣れたロケ地が出てくるのもたまりませんね。
『ミリオンダラー・ベイビー』が残り30分までは、ジムでの3人のやりとりだけなら大傑作だったように、母娘とニックのやりとりと、師弟の特訓シーンはどれもいい。
中でも、主演の二人が霞んでしまうほど、子役のクリスタル・リーちゃんが素晴らしすぎる!
閉めようとするドアを何度も遮っての畳み掛けるような“我が家のルール説明”でニックを圧倒したかと思えば、ボクシングを教わる時に見せる弱さ。
デッキブラシでのチャンバラなんていいなぁ。
「君ならできるさ。恐れるな。恐れたら、負けだ」
彼に教えてもらった大切な一言、その一言が今度はリングに向かうニックの背中を押すことになる。
さらに、泣き出すのを必死でこらえているあの表情!あれは泣くより難しい。
いつも遊んでいたように、足の上に乗るやりとりがここぞの時に繰り返されるのもいいなぁ。
こちらの涙腺が決壊したのは、エンドクレジットも中盤を過ぎたあたりからでした、笑顔の3ショット、あれは反則だろ!(涙)
母親の方とニックのやりとりもいい。
娘の前以外ではおそらく誰にも笑顔を見せたことのなかった彼女が、娘とニックの芝居に見せた心からの笑顔。
娘とニックが雨漏りの修理をしたり、壁や天井をペンキで塗ったりするのを、嬉しそうに遠目から見つめる母親。
肩車を横から支えるという絵もいいなぁ。
その関係は、娘がその場にいない時でもその結びつきを強めていく。
いつも降り出す雨、手放さないヘッドホン、「The Sound of Silence」、バイクでの二人乗り。
クライマックスの後で、最後にまた彼女の前であの芝居をやるところがいいですねぇ、あくまでも主役は試合ではなく人間。
満を持して登場する、アンディ・オンのラスボス感も相変わらず素晴らしい!
台詞なんて会見での「Why not?」の一言しかないのに、不敵な笑みを浮かべた表情、ノーガードになったり色々と挑発する仕草、跳躍力を中心とした圧倒的な動き、闘い方だけで完璧に表現しきったその人物像。
いやー、もっと格闘技メインの映画かと思ったら、良い意味で予想を裏切られました。
また観たらもう少し加筆するかもしれません。
先程も書きましたが、これは日本語字幕付でじっくりと堪能したい。
ぜひ一般公開を!
(2014.1.18)
~2015.1.31追記~
たぶん観るの4回目だけど、今までで一番泣いた。ボロ泣き。クリスタル・リーちゃん素晴らしすぎる!足踏んで下さい!
いやー、もう少しもつかなと思ったけど、ドアからクリスタル・リーちゃんが顔を出した時点ですでにウルウルきて、3人で初めて一緒に朝ご飯を食べるところあたりですでに涙腺決壊。そこから最後まで、自分でもそこまで泣くかとツッコミたくなるほどのボロ泣き(笑)
娘とファイの芝居に見せた、おそらく娘以外に初めて見せた母親の心からの笑顔に泣き、娘とファイが雨漏りの修理をするのを遠目から見つめる母親の嬉しそうな表情に泣き、土砂降りの雨の中素手で必死に土を掘るファイに泣く。ドラマパートが圧倒的に素晴らしい。傑作。
~2015.2.11追記~
ドラマパートの素晴らしさに比べると、試合になるとやっぱり数段落ちるけど、「師匠はまだ来てないの?」ってスーチーが不安そうにリングの外を振り返るところ、あそこだけは何回観てもいいよなぁ。あれだけで、スーチーにとってのファイの存在の大きさがよくわかる。
ania MOVIE
※このCDに劇中で使用の「The Sound of Silence」を収録
2013/香港/116分
[監督]ダンテ・ラム
[出演]ニック・チョン/エディ・ポン/メイ・ティン/クリスタル・リー/アンディ・オン/ジャック・カオ/フィリップ・キョン