『ドラフト・デイ』(アイヴァン・ライトマン)

ドラフト・デイ
大傑作!今年のベストワンはもうこれでいいよ。(去年も『ラッシュ/プライドと友情』で同じこと言ってたけど結局8位)

いやー、やっぱりアメリカ映画が最強だわ。

“100ドル札”のエピソードにはもちろん涙腺決壊だけど、一瞬しか映らない大きな工場のショット、あれは泣く。

台詞やナレーションなどの“説明”一切なしで、3秒もかけずにクリーブランドという街を描ききる、あれこそ“映画”、あれこそプロの技、あそこだけでもう満点。

時間にして半日、舞台もほぼ各チームのオフィスとドラフト会場だけ、武器は電話1本、頼りになるのは己の口先一つ。

ドラフト・デイ

そこまでの限定を、見事にカバーする分割画面の使い方と臨場感あるサウンドエフェクト。

各チームの話になる前に一瞬だけ映る各スタジアムの空撮も効いている。

電話による心理戦の勝負なので、相手の声、息づかい、ちょっとした間、そういうのが凄く大事だけど、それを同時に見せた方が効果的な場合は分割画面を使って、より一人の人物に焦点を当てた方が効果的な時は寄って切り返し、この匙加減もむちゃくちゃ上手い、もう自由自在。

サム・エリオットとロザンナ・アークエットのありえないくらい贅沢な使い方、出てきただけでもう存在感が違いすぎるエレン・バースティン(グラウンドに佇むロングショット!)、心理を読み合う映画の中で一人だけ最後までサングラスを外さないフランク・ランジェラ、脇も最高。

いやー、ほんといいものを観た。時間遅くて売店しまっててパンフレット買えなかったのでもう1回観に行きたいけど、そろそろ終わりそう…。

あっ、一つ大事なこと書くの忘れてた。

『レッドクリフ』みたいに映画の前に日本独自の説明が入るのって99%は必要ないけど、この映画に限ってはあって大正解。

あのドラフトのルールは知らない人のが圧倒的多数のはずで、知らずにいきなり始まったらたぶん面白さが全然違う。

 

ドラフト・デイ [Blu-ray]

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[原題]Draft Day
2014/アメリカ/110分
[監督]アイヴァン・ライトマン
[出演]ケヴィン・コスナー/ジェニファー・ガーナー/デニス・リアリー/フランク・ランジェラ/エレン・バースティン/サム・エリオット/チャドウィック・ボーズマン/テリー・クルーズ/ロザンナ・アークエット/デヴィッド・ラムゼイ/トム・ウェリング/パット・ヒーリー

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