『花嫁人形』(エルンスト・ルビッチ)

花嫁人形

エルンスト・ルビッチ第12弾。

この前の『男になったら』に続いてオッシ・オスヴァルダ主演。
前回は男装でしたが、今回は人形(笑)

女性恐怖症の男が、結婚したら跡継ぎにしてやると叔父の男爵に言われるも、数十人の押し寄せる花嫁候補たちから逃げて、寺院に匿ってもらうことに。

結婚したら多額の持参金が出ると知った僧侶たちは、そんなに女性が怖いなら、女性そっくりの人形と結婚してごまかせばいいじゃないかとけしかけます。
乗り気ではない男ですが、僧侶たちにはお世話になっているので、渋々作戦に乗ることに。

そこで人形作りのところに出掛けていくと、職人が娘をモデルに人形を。
しかし、小僧がその人形を壊してしまったからさあ大変!

娘は小僧をかばい、人形の振りをして男と結婚するが…。

まず、この人形、どう見ても人形ではなく人なんですが、誰も気づかないところはご愛嬌(笑)

花嫁人形 ルビッチ

基本的なポーズはあるんですが、実際は人なので、気付かれないところでは、とにかくよく動きます。

ただ、まったく動かないという人形ではなく、背中のところにあるぜんまいでいろいろな動きをするという設定の人形。
なので、同じ動きで踊ったり歩いたりすることは問題ないわけです。

でも、その本来の動きを超えて、とにかくよく動きます。
気に食わないことがあると男を叩いたり、美味しそうな物が近くにあると気づかれないように食べたり、ワインだって飲みます。
男が少し目を離すと、いつの間にか消えている手元の食べ物(笑)

花嫁人形 オッシ・オスヴァルダ

いろんな勝手な動きをしてはお決まりのポーズに瞬時に戻る、その様子を観ているだけで十分笑えます。

『バッファロー’66』や最近ニュースにもなっていた“レンタル恋人”などとは違い、人形と結婚するいう発想がまずは凄い。
しかも、どう見ても人間(爆)

他にも、馬車を引く馬が、どう見ても中に人間が入っていて人間が歩いていたり、アナログ感がたまりません(笑)
冒頭には、セットの代わりに紙で家と庭を作るというこれまた凄いシーンがありますが、作っているのはなんとルビッチ本人。

花嫁人形 ルビッチ

この家にカメラがすーっと寄っていき、大きくなったところでドアの所から本物の人が出てきます。
究極のコストカット(笑)
お月様だって、ロケではなく、手書きの紙です(爆)

絶頂期の“ルビッチ・タッチ”とはまた感じが違いますが、相変わらずルビッチは楽しませてくれるなぁ。

 

LUBITSCH IN BERLIN Six films by Ernst Lubitsch, 1918-1921 [Masters Of Cinema] (DVD)

[原題]Die Puppe
1919/ドイツ/64分
[監督]エルンスト・ルビッチ
[出演]オッシ・オスヴァルダ/ヘルマン・ティーミッヒ/ヴィクトル・ヤンソン

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