思いっきり声を出して笑って、気がついたら涙が止まらなくなって、人を好きになるってこういうことだよなぁとふと我に帰る。
ラブコメとしてこれ以上は望みようがないくらいほぼ完璧な映画。
脇に至るまで、この人しかいないという見事な配役、臭くなる一歩手前でビシッと決まる台詞の数々、抑えるところは抑えつついく時は一気に突き抜ける演出の緩急。
コメディにはいろんなパターンがあって、例えば『ジョニー・イングリッシュ』の笑いの基本は“勘違い”。
今回の肝は“鉢合わせ”。なんでお前がここにいるんだよ!回数的にはそんなに多くないですが、どれも強烈過ぎる名場面。
父兄面談もオチまで含めて最高ですが、なんといってもクライマックスの破壊力が尋常ではない!
すでにとんでもない事態になって映画の中も観ているこちらも完全に振り切れちゃっているところに、そこにさらに文字通り突撃してくるジョン・キャロル・リンチ!
いやー、お腹がよじれるくらい笑いに笑った。
じぁここが一番の名場面かと言うと、この後にくるほんとのクライマックスである卒業式、気づいたら話が止まらなくなって何時の間にか眠ってしまったベッドでの会話、片方だけが相手に気づいている電話越しのやりとりなどなど、全編名場面の連続。
しかも、台詞だけに頼らず、例えば靴を映し続けるだけで一言の説明もなしに主人公の人物像を説明しきってしまった見事なオープニングのように、目で魅せる演出も冴えに冴える。
原題通り、crazyで、stupidで、それでも溢れんばかりのloveに満ちた、文句なしの傑作。
[原題]Crazy, Stupid, Love.
2011/アメリカ/118分
[監督]グレン・フィカーラ/ジョン・レクア
[出演]スティーヴ・カレル/ライアン・ゴズリング/ジュリアン・ムーア/エマ・ストーン/ジョン・キャロル・リンチ/マリサ・トメイ/ケヴィン・ベーコン