この作品にはやられました。
劇場で予告編を観た時には、少年と老教師の心暖まる物語、そんなキャッチフレーズでしたし、映像もまさにそんな感じでした。
その一方で、衝撃のラストという噂。
でも、あの予告編を観た限り、とても衝撃のラストがあるような映画には思えず、心暖まる物語というふうに思い観始めました。
そして、案の定予想どおり、話はそういうふうに進んでいきます。
特筆すべきは主人公の少年。こんなに可愛い子役も久しぶりです。
しかし、物語も後半、内戦の雰囲気が押し迫る中、あれっ!?と、今までの心暖まる物語はその様相を変えていきます。
そして、噂は本当でした。知ってしまったら終わりなので内容には触れませんが、ラストの衝撃という点では、衝撃という言葉では全然足りません。まさに絶句です…。
少年があまりにも可愛いため、可愛ければ可愛いほど、このラストの凄絶さは倍増されます。
さらにもう一つ。この映画で忘れてはならないのが、音楽。
『ニュー・シネマ・パラダイス』を思わせる、淡々と、主張せず、そしてどこか哀愁を漂わせる素晴らしい音楽です。
クレジットを見てびっくり、音楽を担当しているのは、なんとアレハンドロ・アメナーバル。
そう、『アザーズ』の監督であり、ヒッチコックの再来と騒がれているまさに彼です。
『アザーズ』でも音楽も担当している彼ですが、あれだけのサスペンスを撮り、観客を震え上がらせておきながら、一方ではこんな音楽が書けるわけです。ほんとに敬服します…。
ちなみに、本作の監督は『アザーズ』には製作として参加していますが、スペイン勢恐るべし!
[原題]La lengua de las mariposas
1999/スペイン/95分
[監督]ホセ・ルイス・クエルダ
[音楽]アレハンドロ・アメナーバル
[出演]フェルナンド・フェルナン・ゴメス/マヌエル・ロサノ/ウシア・ブランコ
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