『ウォッチメン』サントラ、超豪華な顔ぶれ!というエントリーを以前にUPしましたが、やはり音楽が抜群に素晴らしかった!
“正義”についてなどなど、公開時に散々語り尽くされているので、今さら書くこともないんですが、ここでは、音楽の観点から簡単に。
ヒーローたちについての的確な紹介と、ロールシャッハかっこいい!の危険性についてはこちら。
日刊【考える葦】Returns<ダーク・ティグラー〈ブギーナイツ〉はNGで、Dr.マンハッタン〈ウォッチメン〉がOKなのは何故だろう?>
『立喰師列伝』と絡めての戦後史の描き方や、『ダーティハリー』と絡めての“選択”についてはこちら。
web-tonbori堂ブログ<米国裏英雄列伝。『ウォッチメン』>
前のエントリーで「ボブ・ディランを中心に」と書きましたが、まさにボブ・ディランが中心でしたね。
予告編の1つで使われていたMuseの「Take A Bow」は流れませんでした…。
●●vsコメディアンのバトルのバックに流れるナット・キング・コールの「Unforgettable」に続いて、いきなりきました「時代は変わる」!
“ミニッツメン”結成から、日本降伏、JFK暗殺、ベトナム戦争、キューバ危機、月面着陸などを経てニクソンの三選まで、アメリカの戦後史数十年を、ヒーローの暗躍を散りばめながらたった数分で一気に観せる、このオープニングが抜群に素晴らしい!
このバックに流れるのが、ボブ・ディランの「時代は変わる」。
「And the first one now
Will later be last
For the times they are a-changin’.」
あの映像のバックに、これ以上の曲はないでしょう、無駄な台詞なんかなくても、歌詞が全てを語ってくれています。
ボブ・ディラン関連では、他には、ロールシャッハとナイトオウルⅡ世が南極に向かうシーンでジミ・ヘンドリックスバージョンの「見張り塔からずっと」が、エンディングではマイ・ケミカル・ロマンスによる「廃墟の街」のカバーバージョンが流れますが、どちらも納得の選曲ですね。
他で目立ったのはレナード・コーエン。ナイトオウルⅡ世と2代目シルク・スペクターのラブシーンで「Hallelujah」が、エンディングではDr.マンハッタンに捧げるように「First We Take Manhattan」が使われています。
ベトナム戦争のくだりでは、ヘリコプターと「ワルキューレの騎行」が。こういう“お約束”は大事です(笑)
このように、名曲揃いの『ウォッチメン』ですが、一番ぐっときたのはサイモン&ガーファンクルでした。
名台詞の宝庫でもある映画ですが、台詞的に一番痺れたのもここでした。
「ごめんなさい、楽しく笑おうと食事に誘ったのに、最近は笑える話題もなくて」
「仕方ない、コメディアンが死んだんだ」
流れ始める「The Sound of Silence」。
JFK暗殺のショックから抜け出そうとしてポール・サイモンが書いたことで有名なこの曲ですが、JFK暗殺の実行犯コメディアンの葬儀、遠くにマンハッタンが見えるその墓地で、参列するかつてのヒーローたち。正面には、今は無きツインタワー。
「People talking without speaking.
People hearing without listening.」
「And the people bowed and prayed
To the neon god they made.」
40年の時を越えて繰り返された悲劇。
「妥協はしない、たとえ世界が滅ぼうとも」と言ったのはロールシャッハですが、本当に世界が滅んでしまうまで、悲劇は繰り返され続けるのか。
「許しはしないが、非難もしない、だが理解する」
主に1985年を舞台にしていますが、2代目シルク・スペクターが「ジョンならこう言うわ、“終わりなどない、何事も終わらない”」と言ったように、2009年の今も、まだ物語は続いていますね。
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[原題]Watchmen
2009/アメリカ/162分
[監督]ザック・スナイダー
[出演]マリン・アッカーマン/ビリー・クラダップ/マシュー・グード/カーラ・グギーノ/ジャッキー・アール・ヘイリー/ジェフリー・ディーン・モーガン/パトリック・ウィルソン/スティーヴン・マクハティ/マット・フルーワー/ローラ・メネル
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