『ブレイキング・ニュース』(ジョニー・トー)

ブレイキング・ニュース ポスター

ジョニー・トー第22弾。
未だに公式サイトに公開の予定が載らないので(どうしたシネマスコーレ!)、待ちきれずにYesAsia.comからゲット。
例によって日本語字幕はありませんが、この映画の場合大勢に影響はないでしょう。

ビルを遠目に捉えたカメラ、ビルに入っていく男にカメラが寄ると、カメラも窓越しにビルの中に入ります。
ビルの外にはCID(重犯罪特捜班)の面々が張っています。

ビルから出てきた男たちが車に乗ろうとすると、制服警官が職質。
何やら漂い始める不穏な空気、その様子を車の中から伺うCID。

いきなり緊迫感MAXのジョニー・トーワールド炸裂!

男たちの一人が制服警官に放った一発の銃を合図に始まる、男たちとCIDの銃撃戦。
銃撃戦の真っ直中に飛び込んだカメラによる、市街地のど真ん中での臨場感満点の撃ち合い。

置きみやげを放ち、車を奪い逃走する男たち。

ここまで約7分、なんとワンカット!さすがジョニー・トー先生、もはや神業ですね。
ここまでだけでも何度でも観たい。

銃撃戦の最中、犯人に銃を向けられた一人の警官が両手を挙げて命乞いをしてしまいます。運が悪いことに、その様子は駆けつけたマスコミによって生中継。
おまけに犯人たちを取り逃してしまいます。

信用を失った香港警察。
副総監サイモン・ヤム(今回はチョイ役)にメディア戦略を進言したのが、OCTB(組織犯罪課)の新任指揮官ケリー・チャン。

その戦略とは、PTU(機動部隊)にワイヤレス・カメラを装備し、犯人逮捕の瞬間という最高のショーをTV中継するというもの。

徹底した報道管理の下、PTUの出撃シーンをかっこよく流したり、警察が頑張ってるから安心という住民の声を流したり、イメージ戦略も展開します。

高層アパートに潜伏しているところを数百人の警官たちにアパートを取り囲まれた、リッチー・レンをリーダーとする犯人グループも負けてません。

メディアにはメディアで対抗だと、警察側の報道管理によって流れなかった映像を流したりして対抗します。
さらに、人質一家(ラム・シュー!と子供二人)と優雅に食事(犯人たちが笑顔で自炊!)をしている光景をネットに配信。

ブレイキング・ニュース 料理

それを見たケリー・チャン、あまりに食事が美味しそうだったのにやられたと思ったのか、アパートを取り囲む警官やマスコミにまで弁当を支給し一時休戦。

両者腹ごしらえも終わって勝負再開。

重火器を装備したSDU(対テロリスト特殊部隊)も駆けつけ、PTUも臨戦態勢、初めからこの男たちを追っていたCIDは、ボスにニック・チョン、片腕にホイ・シウホン!

マスコミのカメラが見つめる中、そしてその映像を全香港市民が見守る中、いざ!

この映画、舞台がビルの中なので、狭い中での圧迫感が緊張感を高めていて素晴らしい。

完全にアパートを包囲されていながら、ネットによって外の世界とのつながりがあるというのも今のご時世リアリティがあります。

リッチー・レンが、たまたま同じアパートに潜伏していた殺し屋(ユウ・ヨン)と心を通わせていくのも、ジョニー・トー監督らしくていいですねえ。

公開前なので、今回はこれくらいにしておきます。
いずれ追記するかもしれません。

全編に漂う緊迫感は相当なもの。
特に、7分間ワンカットのオープニングの銃撃戦はほんとに凄い!

 

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[原題]大事件
2004/香港/90分
[監督]ジョニー・トー
[執行導演]ロー・ウィンチョン
[出演]ケリー・チャン/リーチー・レン/ニック・チョン/ラム・シュー/ユウ・ヨン/マギー・シュー/サイモン・ヤム/ホイ・シウホン/チョン・シウファイ

→予告編 →オープニングのワンカット長回しの銃撃戦 →他の映画の感想も読む

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