『アヒルと鴨のコインロッカー』(中村義洋)

アヒルと鴨のコインロッカー

“How many roads must a man walk down~♪”

自分も予備知識なしで観ましたが、筋を知らない方が絶対に楽しめると思いますので、詳しいストーリーには触れません。

そんなことよりも、この映画は音楽です。
しかも、全編に渡って同じ曲が流れ続けます。

1963年の名作『The Freewheelin’ Bob Dylan』のオープニングを飾る、ボブ・ディラン永遠不滅の名曲「Blowin’ In The Wind」、邦題「風に吹かれて」。

ディランを神と崇拝する男。

男の元を去った女。

女が働くペットショップの店長。

女が出会ったブータン人。

仙台の片隅では、いつも「風に吹かれて」が流れていた。

アヒルと鴨のコインロッカー 濱田岳 瑛太

そんな仙台に、大学進学のためやった来た男。
引っ越しのためのダンボールを、歌を歌いながら縛る。
そんな彼が歌っていたのもまた、「風に吹かれて」だった…。

この前の『サマータイムマシーン・ブルース』のように、この映画もまた、実は~だったというふうに語り直されます。

オープニングの「ディラン?」というアパートのドア先での出会い。

ディランに込められた意味を知った後にもう一度観る後半、むちゃくちゃいい。

男にとっても今や神となったディラン。
そんな彼の隣に引っ越してきた、ディランを歌う男。

神様に見て見ぬ振りをしてもらうために、神様を閉じこめてしまおう。

今日も仙台の片隅には、神様ボブ・ディランの「風に吹かれて」が流れ続ける。

彼はどうなってしまったのか。

彼は戻ってくるのか。

“The answer is blowin’ in the wind”

“こたえは風に舞っている”

※邦訳は片桐ユズル訳。

 

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2006/日本/110分
[監督]中村義洋
[原作]伊坂幸太郎
[主題歌]ボブ・ディラン「風に吹かれて」
[出演]濱田岳/瑛太/関めぐみ/松田龍平/大塚寧々

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