ジャック・オディアール、『天使が隣で眠る夜』『リード・マイ・リップス』『真夜中のピアニスト』というただでさえ凄まじいフィルモグラフィーに、またとんでもない傑作が加わった。
やっぱり現代フィルム・ノワールの最高峰は彼だ。
何度となく繰り返される刑務所の庭でのやりとり、いつも悠然と待っていた男が、待ちきれずに踏み出す一歩、それを顔色一つ変えず遠くから見つめる男。
そして、あまりにも完璧なラストカット。
6年という歳月を、主人公の表情に、彼を捉える構図に、全て凝縮させる。言葉はいらない。
映画を観ていると、このカットが撮りたくて監督はこの映画を撮ったんだろうなぁという、「完璧な構図」にたまに出会うことがありますが、この映画のラストカット、久しぶりに震えがくるくらい素晴らしい。
それだけでも凄いのに、そこにさらに「表情」までが加わる。完璧すぎる。
大傑作。
[原題]Un prophète
2009/フランス・イタリア/150分
[監督]ジャック・オーディアール
[出演]タハール・ラヒム/ニエル・アレストリュプ/アデル・バンシェリフ/ヒシャーム・ヤクビ/レイラ・ベクティ
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