今回は、『わが谷は緑なりき』に続いて2本目のジョン・フォード監督作品です。
騎兵隊3部作の第2作にあたる、詩情西部劇の名作。
部下の誰からも慕われている退役間近の大尉ブリトルズは、部下を引き連れ最後の任務に出かける…。
まずは、哀愁漂う老け役ジョン・ウェイン、渋過ぎます!
妻の墓前で亡き妻に語りかけるシーン、いよいよ退役の日の朝、最後の閲兵の際に、部下たちがなけなしのお金を集めて買ってくれた銀時計に熱いものがこみ上げるシーン、ともにきます…。
一人の女性を巡る中尉と小尉の争いをなだめるシーンや、いつも側にいるこちらももうすぐ退役間近の軍曹にわざと問題を起こさせ営倉入りにして生きて退役させてあげる優しさ、それでいていざ戦闘となれば的確な判断。
男気、優しさ、そして哀愁。
ハワード・ホークス監督の『赤い河』でもそうでしたが、この老け役ジョン・ウェインが最大の魅力。
続いて、馬に乗る姿が“一篇の詩”と讃えられたというスタントマン上がりのベン・ジョンソンが、一人インディアンから逃げるシーンの疾走感、この映画ではその“詩”を十分に堪能できます。
この馬で駆ける速さ、美しさというのも西部劇の大きな魅力の一つ。
そして、モニュメントバレーの雄大な美しさ、その中を往く騎兵隊の行進、これももはや“詩”と言ってもいい美しさ。アカデミー賞撮影賞受賞も当然。
さらに、映画音楽の歴史に名を残す、騎兵隊の出発の時に流れる主題歌「黄色いリボン」、これがまたいいんです…。
というわけで、ジョン・ウェイン、ベン・ジョンソン、映像、音楽、そして派手なアクションを控え西部への想いを静かに描いたジョン・フォードの演出、どれもが一級品。
最後に、『めぐり逢う大地』の時に、“自らの手で町を作るということ、国を作るということ。その圧倒的なエネルギーに何よりも打たれます。”と書きましたが、それを的確に表現しているのが、この映画の有名なラストのナレーション。
「ここにもたくましい兵士や、1日50セントのプロがおり、辺地を守ってる。
どこの砦に行こうと、彼らには変わりがない。
身なりは汚く、歴史のページにも登場しない。
しかし、彼らが馬で通り、戦った所が、合衆国になったのだ。」
ジョン・フォード監督や西部劇のファンはもちろん、そうでない方にも必見の名作。
[原題]She Wore a Yellow Ribbon
1949/アメリカ/103分
[監督]ジョン・フォード
[出演]ジョン・ウェイン/ジョーン・ドルー/ジョン・エイガー/ベン・ジョンソン/ハリー・ケリー・Jr/ヴィクター・マクラグレン/ミルドレッド・ナトウィック/フランシス・フォード
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