『ザ・レイド』(ギャレス・エヴァンス)

ザ・レイド

昼間大興奮でいくつかツイートしましたが、予告通りちゃんとこちらでも書こうと思います。

まずは、ツイートも改めて載せておきます。

凄すぎて、もう笑うしかない。“10年に1本のアクション映画”というのは、大袈裟でも何でもない。映画館ガラガラでしたが、もったいなさすぎる!万難を排して今すぐ映画館へ!

書き出したらあっという間に文字数オーバーしたので、久しぶりにブログに書こう。期待値MAXだったのに、その遥か上を突き抜けていった。これの後にアクション映画を撮る監督は大変だ…。

『マッハ!』を観たドニーさんが、香港映画界が本気を出したように、香港からのこの映画への返答が観たい。

さて、botにも載せているトーさんの言葉に、「私が尊敬する黒澤明の映画は、内容を3行で説明できる。『七人の侍』が良い例だよ。あの映画はまれにみる名作だが、簡単に話を説明できるだろう?テーマはシンプルなほうがいいということだ。」というのがありましたが、3行どころか、麻薬王が支配する高層ビルにSWATが突入する、1行もあれば十分。

懸垂、腹筋、キック、家族との時間、主人公の日常を数分でさらりと描いた後、いきなりビルへと向かうSWATを乗せた車。

警察上部の描写とか、ごちゃごちゃした背景なんか一切描かないこの潔さ。

そんなものは誰も求めてないだろ?わかってるよ、観せてやるよアクションだけを!というわけで、開始5分くらいで、早くもビルに向かう車の中、『PTU』の冒頭の光景の重装備版です。

隊列を組んでビルに近づくSWAT、静かに、それでも徐々に緊迫感を煽る音楽も素晴らしい。

一人、また一人と倒しつつ、各フロアを制圧しながらビル内を進んでいく隊員たちですが、敵を仕留めたたった1発の銃弾が、彼らの存在をビル中に知らしめることに。

ここで一気に形勢は逆転、無数の敵が彼らを迎え撃つことに。
この敵の面構えがみんな素晴らしい、絶対人を殺していそうな人たちばかりです(笑)

ここから怒涛の銃撃戦が始まって、嵐のような銃弾の雨と、身が震えるくらいの音に圧倒されることになりますが、ほんとに素晴らしいのは、静から動に切り替わる瞬間。

訪れる静寂、辺りを包む暗闇、息を潜める隊員たち、彼らを見下ろす位置から銃を構える敵たち。

火を吹いた隊員の銃、その火が暗闇を灯し、浮かび上がる隊員たちの姿、一斉に浴びせられる銃弾の雨。
動の部分の迫力と音量が凄まじいだけに、一層際立つこの静→動の瞬間の素晴らしさ。

この敵たちというのも、傍から見れば「マンションの住人」なわけですが、装備もスキルも半端なく、次々と瞬殺されていく隊員たち。
一瞬でも隙を見せれば即死亡、ヘタすれば、隙を見せなくても即死亡。

もうこのマンションに踏み込んだ時点で、生きて帰って来るなんて奇跡以外の何ものでもないレベル。

でも、隊員たちの中には、イコ・ウワイスがいた!

ザ・レイド イコ・ウワイス

というわけで、前半の大銃撃戦から打って変わって、後半はついにシラットが炸裂!

これはごちゃごちゃ書くよりもご覧になっていただいた方が早いですが、凄いことをやっているのはもちろん、「何をやっているかちゃんとわかる」撮り方も素晴らしい。
せっかく凄いことをやっているのに撮影と編集が全てを台無しにしていた『るろうに剣心』とはそこが決定的に違う。

そして、優れたアクション映画には強烈な悪役の存在が不可欠ですが、出ました、その名もマッド・ドッグ!

まずはSWATの隊長との一騎打ち。
銃で簡単に殺せる状況にありながら、自ら銃を置き、「銃なんてつまらない、ファーストフードみたいだからな」と、素晴らしすぎる台詞を吐いた後、己の拳でボコボコに。

ザ・レイド ヤヤン・ルヒアン マッド・ドッグ

さらに、一人を鎖で縛り付けて拷問していたところに、イコ・ウワイス登場。
ここでも、鎖をほどいてあげて、自ら1対2の状況に。これだよこれ!

そんなわけで、全部書いてしまってもつまらないので、こんな文章を読んでいるよりも、一刻も早く映画館で、この驚愕のアクションを体験して下さい。

“10年に1本のアクション映画”という謳い文句で宣伝されていて、多くの場合こういうのは言葉倒れですが、今回に限っては大袈裟でもなんでもなくて、まさに『マッハ!!!!!!!!』以来の衝撃。
あの映画は2003年の映画なので、10年に1本という言葉に偽りはありません。

全人類必見。

※2回目を観に行った時のTwitterでの感想も追加しておきます。

2回目。改めて痺れるのは前半の銃撃戦のサウンドエフェクト、これを聴いちゃうと今後が大変。そして、2大決闘ともマッド・ドッグを応援している自分がいるw 今年のベストシーンがEP2のチャック登場シーンなら、ベスト台詞は「銃は簡単すぎる、まるでファーストフードだ」で確定。

鎖を上げるレバーをクルクル回している時の、早く闘いたくてしょうがないマッド・ドッグの表情がたまらない。二人を分けてその間に立ち、自ら挟まれての1対2に挑むなんて、漢すぎるにもほどがある。『ザ・レイド2』にはぜひ双子の弟マッド・ウルフとして参戦していただきたいw

 

ザ・レイド [Blu-ray]

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[原題]The Raid: Redemption
2011/インドネシア・アメリカ/101分
[監督]ギャレス・エヴァンス
[音楽]マイク・シノダ/ジョセフ・トラパニーズ
[出演]イコ・ウワイス/ヤヤン・ルヒアン/ジョー・タスリム

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