『ギター弾きの恋』(ウディ・アレン)

ギター弾きの恋

主人公を知る人々の証言が次々と挿入されドキュメンタリータッチなため、実在のギタリストの話かと思いきや、まったくの架空のジャズ・ギタリストのお話。
この点だけとってみても、ウディ・アレン上手い!

このギタリスト、女遊びも派手で大の自信家。もちろん腕はピカイチなんですが。

それで「世界一のギタリスト」を自称するなら普通ですが、面白いのは、ヨーロッパに行った時に生で演奏を見て2度も失神したという、フランス人のジャンゴというギタリストをまるで神のように崇拝していて、口癖は「俺は世界で2番目の腕」。

ギター弾きの恋 ショーン・ペン

アーティストに結婚は似合わないと、次から次へと女を変えている主人公が、友達とナンパした際にコインの表裏で当たってしまったのが、口がきけないうえに頭も少し弱い娘ハッティ。

この役を演じているサマンサ・モートンが最高。ひたすら食べ続けているんですが、もうむちゃくちゃ可愛い!

口がきけないため、表情と仕草だけですべてを表現するわけですが、目の演技が素晴らしくて、ほんとに上手い。

ギター弾きの恋 サマンサ・モートン

一方、主人公のギタリストを演じるのは、当ブログでは『デッドマン・ウォーキング』で登場したショーン・ペン。
『デッドマン・ウォーキング』の時とは打って変わって、自惚れで女たらしで、それでいてギターの腕前だけは天才的という憎めないキャラを熱演してます。

最後に、失って初めてほんとうに大切なものがわかるというのは、『道』と同じパターンですが、今も昔も変わらない真実だということでしょう。
自分も経験がありますが、気づいた時にはもう遅くて、取り返しがつかないんですよねぇ…。

 

ギター弾きの恋 ―デジタル・レストア・バージョン― [DVD]

[原題]Sweet and Lowdown
1999/アメリカ/95分
[監督・脚本]ウディ・アレン
[音楽]ディック・ハイマン
[出演]ショーン・ペン/サマンサ・モートン/ユマ・サーマン/ウディ・アレン

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