『レッドクリフ Part I』(ジョン・ウー)

レッドクリフ Part I

二挺拳銃はもちろん出てきませんが、代わりに二刀流が活躍。
コートはおかしいので、代わりにマントが翻ります。
そして、鳩は今までで一番の活躍ぶり!

今回は、“男ならこれを観ろ!”から、待ちに待ったジョン・ウーの三国志『レッドクリフ Part I』です。

オープニング、おそらくは日本版にだけ付け加えられた説明が入ります。
三国志ファン的には、何をいまさらという基本中の基本で、テンションがた落ち…。
でも、三国志のことをまったく知らない方には、この説明は親切ですね。これすら知らないと、何が何だかさっぱりということにもなりかねませんので…。
結果的に大ヒットしているので、試みとしては成功しているんでしょう。

さて、2部作ということは事前にわかっていて、肝心の赤壁の戦いが今回は出てこないというのもわかっていました。
前ふりにしては2時間半は長いよなぁと思っていましたが、いきなりきましたね見せ場が。
赤壁の戦いほど有名ではありませんが、三国志の大きな見せ場の一つ、長坂の戦い。

糜夫人・甘夫人と阿斗が逃げ遅れていると知るや、単騎救出に向かう趙雲。
足手まといになると、自ら井戸に身を投げた糜夫人。
阿斗を抱えた趙雲が、ボロボロになりながらも、一人曹操軍を蹴散らし、劉備の元へ阿斗を無事届けます。

ここが、この映画一番の見所と言っても言い過ぎではないでしょう。
フー・ジュンかっこよすぎ!!

その他の戦闘シーンでも、関羽よりも、張飛よりも、ダントツでかっこいいですね。

レッドクリフ Part I フー・ジュン

戦闘シーンでは、陣形へのこだわりにニヤリとさせられ、中でも八卦の陣の再現は涙もの。
太鼓の合図により、次々と陣を変えていき、敵の反撃に合いそうになると、趙雲、関羽、張飛、甘寧が一人ずつ出てきて、一人で大勢を蹴散らします。
おまけに、なんと周瑜まで敵陣に突入していくサービス付。ありえない活躍を見せる周瑜ですが、そこはちゃんと負傷して、ちゃんとオチもつけてます(笑)

この負傷ですが、リン・チーリン扮する小喬の包帯の巻き方、あれは何なんですか?エロすぎ(笑)
それだけにとどまらず、まったく必要のないラブシーンまで…。
これはエイベックスの意向で、ジョン・ウーは乗り気でなかったみたいですが、どう考えてもいらないよなぁ。
おかげで女性客も呼び込めて、エイベックスの戦略は大成功しているわけですが。

三国志ファンとしても、満足な点もありました。
中でも、武将への比重のかけ方が素晴らしく、魯粛と蔡瑁のクローズアップぶりに本気度が伺えます。
赤壁の戦いを描くにあたって、この二人の果たす役割は大きく、そこをちゃんとおさえているあたり、さすがはジョン・ウー。

エピソードとしては、水牛泥棒の件が素晴らしい。
犯人を不問に付そうと、全員の足に泥をつけさせる周瑜、指導が至らなくて申し訳ないと農夫に頭を下げる甘寧、名場面でした。

最後に鳩が大々的に飛んでいきましたが、むちゃくちゃ中途半端なのは仕方ないですね。
さあここから盛り上がるぞ!という所で、ぷつんと終わるわけですから。

早く2を観せてくれとしか言いようがないですが、公開は4月とのこと。
ずいぶんと待たされるなぁ…。

リン・チーリンを筆頭に、突っ込みどころもいろいろありますが、2時間半という長さが全く気になりませんし、映画館で観る価値は十二分にあると思います。

 

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[原題]赤壁 上
2008/アメリカ・中国・日本・台湾・韓国/145分
[監督]ジョン・ウー
[アクション監督]コリー・ユン
[音楽]岩代太郎
[出演]トニー・レオン/金城武/チャン・フォンイー/チャン・チェン/フー・ジュン/ヴィッキー・チャオ/中村獅童/リン・チーリン/ユウ・ヨン

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