『ミーン・マシーン』(バリー・スコルニック)

ミーン・マシーン

八百長でサッカー界を追放された元イングランド代表のスーパースターダニーが飲酒運転と暴行の罪で刑務所に放り込まれる。
所長からの、看守たちのサッカーチームのコーチ就任要請を断った彼は、看守チームの練習試合として、看守チームvs囚人チームの対決を提案。
ルール無視の壮絶な死闘が始まった!

ルールはあってないようなもので、殴る、蹴る、削るは当たり前、エルボー、急所攻撃などなど…。

しかし、『少林サッカー』が最先端のCGを駆使して超人的な大技を披露していたのとはまったく異なり、そこはさすがサッカーの母国イングランド、CGなんかには頼りません。

一部ありますがほとんどは役者がちゃんと素晴らしいサッカーテクニックを披露してくれています。
オーディションにサッカーの技術の試験があり、テクニックがないとその時点で落とされるのです。
中でも、主演のヴィニー・ジョーンズはなんと元ウェールズ代表、上手いのも当たり前です。ひょっとしたら、ギグスの友達かもしれません。

他の面々も、それぞれ超個性的です。

なぜかオーバーヘッドキックをいつも狙うもののなかなかヒットしないイラン人ラジ。

ドリブルはやけにうまいものの味方にパスはしない超自己中のトロージャン。

ムショ一番の腕力を誇りダニーに負けるまではムショ伝統の“拳闘”で35戦無敗だった、チーム内最強のディフェンダーでもある北イングランドの悪党ケッチ。

ムショ内での情報力はピカイチで勝手に監督に就任してしまったマッシブ。

刑務所の囚人を仕切る元マフィアの首領サイクスはチームのオーナー。

選手時代のダニーの大ファンでやる気は最強だが才能がゼロでチームのお荷物ビリー。

通称“グラスゴーのハンニバル”で素手で23人を殺し看守さえも近づかないというモンクなどなど、ほんとにどのキャラも最高です。

ミーン・マシーン

中でも一番凄いのはキーパーのモンク。
イギータばりにボールを持ったら果敢に攻め上がります。
意味不明のステップを踏み、ドリブルを始めたかと思うと、イギータのように、お約束でボールを奪われて失点。

さすが素手で23人殺しているだけあって、キレると“必殺”キーパーに変身。
“必殺技”のように、凄いなどという意味ではなく、文字通り“必ず殺す”です。
実際に殺しはしませんが、彼がプッツンいった時の妄想シーンは爆笑です。

囚人チームが看守チームとの対戦に向けて練習している時に、仲間全員に“格闘サッカー23の秘儀”が伝授されます。これが面白すぎます。

その第一はまず、「うっかり足を踏む」。
といっても、うっかりなんていうレベルの踏み方ではありません。
やられた方は飛び上がるほどの踏みつけ方です。

他にも、「顔面エルボー」「急所蹴り」「平手チョップ」などは当然のように入っていて、面白いのは、倒れている相手を起こしてあげる振りをして脇毛を掴んでひねって起こすという技、これは実際の試合でも審判に気づかれないでできるかもしれません。

最終兵器は「ギロチン」。これはさすがに一発レッドでしょう。

このようにめちゃめちゃなことをやっておきながら、それだけで終わらないのは、役者たちのサッカーのテクニックが本物だということ。
爆笑シーンも満載ですが、サッカーを観るという意味でも十分に楽しめます。

どこか哀愁漂う、なぜか時代がかった音楽も最高です。

母国イングランドからやって来た、あのフーリガンをも熱狂させたという“最凶”のサッカー映画、これを見逃す手はありません!

 

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[原題]Mean Machine
2001/アメリカ/98分
[監督]バリー・スコルニック
[出演]ヴィニー・ジョーンズ/ジェイソン・ステイサム/デヴィッド・ヘミングス

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