『明日へのチケット』がもろにそうだったように、これまでも度々サッカーへの愛を見せてきたケン・ローチですが、今回もサッカー愛が炸裂!
笑顔のない主人公を、いろんな方法で順番に笑わせに行く同僚たち、万引きしてきた自己啓発本に載っていた怪しげな儀式。
そんな仲間たちの思いは、ついに“キング”カントナを呼び寄せる。
熱狂的なカントナファンの主人公、すらすらと出てくる過去の名場面の数々。
人生最高の瞬間はゴールだろ?と問う主人公に、“キング”はこう答えます。
いや、人生最高の瞬間はパスだ、仲間を信用するんだ、どんな時も。
何もかもを失ってきた人生、そうかもしれない。
でも、お前の友達は、俺の友達以上だ。
お前には、何十年とつるんできた、最高の同僚(チームメイト)がいるじゃないか。
さらにそこへ、数十年ぶりに鳴り響くロックンロール、「Blue Suede Shoes」、もう一人のキング、エルヴィスまでもが微笑みかける。
自然と動き出す体、蘇る30年前の人生最高の夜、こんな素敵なダンスシーンもそうはありません。
ここに状況を羅列するまでもなく、いつものケン・ローチ作品のように、“現実”はあまりにも厳しい。
それでも、憧れのキングと、最高の仲間たちの力を借りて、ようやく一歩を踏み出そうとするダメ親父。
そして、最大のピンチを前にして、ついに、“オペレーション・トモダチ”をも超える、最強の軍事作戦“オペレーション・カントナ”が発動される。
どんな作戦かは観てのお楽しみということで。
役者としてのカントナはもちろん、マンチェスター・ユナイテッドの買収問題にさりげなく触れていたり、現役時代のカントナのスーパープレーの数々が拝めるなど、サッカーファンとしても必見。
大好きなギグスもちらっと登場!
[原題]Looking for Eric
2009/イギリス・フランス・イタリア・ベルギー・スペイン/116分
[監督]ケン・ローチ
[出演]スティーヴ・エヴェッツ/エリック・カントナ/ステファニー・ビショップ
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