「俺には何もないんだよ」とただ日々を過ごしていた男が、自らの居場所を見つけるまでの物語。
そこらへんのラブコメが束になっても敵わない純愛もあれば、『ガンマン大連合』のトーマス・ミリアン級の笑顔まで飛び出し、最後は『北国の帝王』級のどつき合いに突入する。
好きになった子が彼氏と別れて自分と一緒になってくれたのに、わざわざその彼氏のところに行ってボコボコに殴られる。
「当然の報いってやつさ」
殴ることしか能のない男が、その拳を納め、自らボコボコに殴られる。
人の気持ちが、痛みがわかる男ダグ。
彼女との初めてのデートに持っていったプレゼントがいい。
いかにも何買っていいかわからなかった感丸出しの花束とチョコレートと一緒に渡したのは、チームの公式マスコットのぬいぐるみ。
彼が見つけた大切なものを、ぬいぐるみ一つで見事に表現しています。
トラウマを抱える、チームメイトの元スター選手ラフラム。
ダグが活躍すればするほど自分の存在価値は無くなっていく。
「俺がいなきゃどうなるか分かるか」と問うダグに、「今までどおり、そのほうがマシだ」
ほんとにマシなのか?この映画は、彼の立ち直りの物語でもあります。
そんな二人の前に立ちはだかる、ラフラムのトラウマの原因でもある最強のケンカ屋レイ。
『ヒート』みたいな、テーブルを挟んでのface to faceがいい。
「敬意は払う、お前の意に関係なくな。だが覚えとけ、お前と勝負する時が来たら、小僧、ぶっ潰してやる」
こんな最高の映画が、劇場未公開どころか、レンタルオンリーとは…。
[原題]Goon
2011/アメリカ・カナダ/92分
[監督]マイケル・ドース
[出演]ショーン・ウィリアム・スコット/リーヴ・シュレイバー/アリソン・ピル/ジェイ・バルシェル/マルク=アンドレ・グロンダン/ユージン・レヴィ