『恋人よ帰れ!わが胸に』(ビリー・ワイルダー)

恋人よ帰れ!わが胸に

“You’d be so nice to come home to~♪”

前回の『お熱い夜をあなたに』に続いて、もう1本ビリー・ワイルダーを。
というわけで今回は、ウォルター・マッソーにアカデミー助演男優賞をもたらした『恋人よ帰れ!わが胸に』です。

映画界には黄金トリオというのがいろいろありますが、当ブログで一番登場機会が多いのは、ジョニー・トー×アンディ・ラウ×サミー・チェンでしょうか。

今回は、映画史上最強のトリオの一つ、ビリー・ワイルダー×ジャック・レモン×ウォルター・マッソー。

フットボールの試合中に選手に激突され病院送りになったカメラマン。
このカメラマンにジャック・レモン。

恋人よ帰れ!わが胸に ジャック・レモン

実はただの軽い脳震盪なわけですが、こんな美味しい話はないと駆けつけた義兄のインチキ弁護士にウォルター・マッソー。

この時点で、面白くないわけがない。

全米中が見守った大舞台での事故に、半身不随を装い100万ドルの保険金をせしめようとするマッソー。

しかし、良い人過ぎて奥さんに逃げられたほどのレモンは、そんなことできないと猛反発。

そこへマッソーが囁きます。
奥さんに帰ってきて欲しくないのかと。

口ではあんな最低の女!と罵っておきながら、今でも奥さんのことを愛しているレモン、医者や看護婦の前で思わず演技開始。

恋人よ帰れ!わが胸に ジャック・レモン ウォルター・マッソー

保険会社の方も、100万ドルも取られてはかなわないと、凄腕の弁護団を雇います。

法曹界ではマッソーのインチキぶりは有名で、なんとかして詐欺を見破ろうと、弁護団は、世界的な医師たちの検査を受けさせたり、24時間の監視と盗聴もつけます。

恋人よ帰れ!わが胸に ビリー・ワイルダー

仮釈放中の怪しい医者の薬によって、最新の機器の検査も突破した二人ですが、医師たちの中で一人だけ「仮病だ!」と言い張る医師がいい味出してました。

レモンに激突してしまった選手が、心配して身の回りの世話をしにきてくれ、親切にされればされるほど良心の呵責に悩むレモン。

レコードをかけ、彼女は歌をやってるんだと選手に語るレモン。
流れるのは、ヘレン・メリルの名唱やアート・ペッパーの名演で有名な、名曲「You’d Be So Nice To Come Home To」。
これ以上はない選曲。

空港まで奥さんを迎えに行った選手、その帰り道、奥さんが完全にお金目当てだということを知った選手ですが、ほんとに自分のことを心配して戻ってきたと思いこんでいるレモンにはそれを言い出せません。

奥さんとマッソーは分け前の話をしているのに、一人幸せの絶頂のレモン。

探偵が仕掛けた最後の罠をクリアして、果たしてこのまま無事保険金をせしめることはできるのか?
この後は観てのお楽しみということで。

“良い人過ぎて情けない男”ジャック・レモンも素晴らしいですが、この映画はウォルター・マッソーの独壇場。
あのジャック・レモンが完全に霞んでしまっています。
アカデミー賞受賞も納得ですね。

恋人よ帰れ!わが胸に ウォルター・マッソー

同じトリオでも、『おかしな二人/バディ・バディ』あたりになると、ワイルダーの衰えが目立ちますが、まだ切れ味が残っていた頃のワイルダーと、レモン&マッソーの掛け合い。

選手と看護婦のちょっとしたやりとりにニヤリとさせられたり、ワイルダー節は今回も健在。
ウォルター・マッソーのインチキ弁護士だけでも、一見の価値はあると思います。

[原題]The Fortune Cookie
1966/アメリカ/125分
[監督]ビリー・ワイルダー
[脚本]ビリー・ワイルダー/I・A・L・ダイアモンド
[音楽]アンドレ・プレヴィン
[出演]ジャック・レモン/ウォルター・マッソー/ロン・リッチ

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