『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』(庵野秀明)

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破

前回、ジョニー・トー映画、“男たちの晩餐”名場面というエントリーをUPしましたが、まさか、味噌汁に「美味しい…」と呟き、指を怪我をしてまで誰かのために料理する綾波レイをこの目で観ることになろうとは…。

というわけで今回は、エヴァンゲリオン最新作『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』です。

それらしく書こうとすると必要以上にややこしくなるエヴァンゲリオンなので、思いつくままにつらつらと。(台詞は不正確な部分があるかもしれません)

以下、ネタバレ全開。

未見の方は、ご注意下さい。

おぉ~!いきなり新キャラ登場かぁ~!とか、3機のエヴァンゲリオンが走る時の躍動感がすげー!とか、その他もろもろありますが、「ぽかぽかする」最強(笑)
手作り弁当の威力恐るべし…。

それは食事会の提案へと繋がり、なんとあのゲンドウすらも動かす。
アスカも「馬鹿シンジにはもっと薄味の方がいいかな」なんて言って一生懸命料理してましたね。
なんなんだ、このほのぼのとした空気は(笑)

このキャラ設定の変更が受け入れられない旧作ファンもいるみたいですが、個人的には“あり”ですね~。
というより、この“心の繋がり”が生まれたからこそ、後半の死闘がより心を打つわけで。

第9使徒戦。トウジの“ハズレ”にほっとしたのも束の間、3号機に乗ったのはなんとアスカ。
「そっか。私、笑えるんだ」に、観ているこちらまで微笑むも、旧作同様悲劇に突入。
しかも、今回のシンジはアスカが乗っていることを知っています。

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 アスカ

「人を殺すよりは自分が死んだ方がいい」から、「アスカを殺すよりは自分が死んだ方がいい」。
この差は決して小さくはない。

さらに、畳み掛けるように第10使徒戦での0号機の自爆攻撃。
「碇くんが、もうエヴァに乗らなくていいように」
そこには、明確な“理由”が、“意思”が、“想い”がある。

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 レイ

そして、キャラ設定一番の変更は、他でもないシンジ。
「逃げちゃダメだ・・・逃げちゃダメだ・・・」と言っていたあの少年はもはやここにはおらず、初号機は、“暴走”ではなく、“意思”の、“想い”の力で再び動き出す。
「綾波を返せ!」

「私が死んでも代わりはいるもの」と言う綾波に、「別れ際にサヨナラなんて、悲しいこと言うなよ」が精一杯だったシンジが、なんと、「来い!」。

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 シンジ

あのシンジの口から、こんなにも強い言葉を聞くことになろうとは。
人を想う気持ちは、人との心の繋がりは、こうまでも人を強くするのか。
抱きしめた綾波の手には、シンジが捨てたウォークマン。

これを小難しく言うなら、この“心の繋がり”こそ、“人類補完計画”でゲンドウが最も重視しているであろう“欠けた心の補完”とでもなるのでしょうが、そうやって小難しく考えるから、必要以上にややこしくなるんでしょう。

冒頭に書いたように、愛です、愛。
14歳の少年にとってはそんな大げさなものでもなく、ぽかぽかするんです、ぽかぽか(笑)

今時の14歳には笑われるでしょうが、一昔以上前に14歳だった方なら、この「ぽかぽかする」は共有できるのではないでしょうか。

基本はTVシリーズに沿いながら、“破”のタイトルに相応しくかなり“変えて”きた2作目。
さあ“急”はどうなるんだ!?と思ったら、“Q”ですか(笑)

 

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2009/日本/108分
[総監督]庵野秀明
[音楽]鷺巣詩郎
[主題歌]宇多田ヒカル「Beautiful World -PLANiTb Acoustica Mix-」
[声の出演]緒方恵美/林原めぐみ/宮村優子/坂本真綾/三石琴乃/山口由里子/山寺宏一/石田彰/立木文彦/清川元夢

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