『ブラス・ターゲット』(ジョン・ハフ)

ブラス・ターゲット

監督作品だけでなく、“役者ジョン・カサヴェテス”作品として、『特攻大作戦』『殺人者たち』とUPしてきましたが、今回は、『パニック・イン・スタジアム』と並んで70年代の役者カサヴェテスを代表する一作、『ブラス・ターゲット』です。

終戦直後のヨーロッパで、ナチスから没収した莫大な金塊が輸送中何者かに奪われた。
ソ連の手前面子を潰されたアメリカのパットン将軍は、自ら犯人逮捕に乗り出すが…。

パットン将軍といえば自動車事故で重傷を負い、そのわずか12日後に亡くなりましたが、“パットン将軍は暗殺された”という仮説をもとに書かれたフレデリック・ノーランの小説『アルゴンキン計画』の映画化。

サスペンス映画なので詳しくは書きませんが、金塊を奪った連中がパットン将軍の暗殺を企み、米軍諜報部と虚々実々の攻防を繰り広げるという内容。

派手なドンパチがあるわけではなく、地味といえばかなり地味ですが、派手ならいいというものでもありません。
これぞサスペンス、最後まで途切れない緊迫感は一級品。

特筆すべきは超豪華役者陣でしょう。

まずはパットン将軍にジョージ・ケネディ。

金塊を奪い、パットン暗殺を目論む犯人グループのリーダーにロバート・ヴォーン。

中心になって真相究明に当たる少佐に、我らがカサヴェテス。

カサヴェテスとの過去があり、今度こそはと彼のもとに寄り添う女にソフィア・ローレン。

まだまだよく見る顔が続々と出てきますが、とどめは、ロバート・ヴォーンが雇った世界最高の殺し屋にマックス・フォン・シドー。

中でもマックス・フォン・シドーが最高で、“事故に見せかけて”殺すようにとの依頼なので、そのために綿密な計画を練っていくわけですが、特注の武器の“試し撃ち”のシーン、確実に関係者を消していく完璧な仕事ぶり、そしてクライマックスの暗殺決行のシーンと、ここでも派手な演出は一切ないんですが、恐ろしいまでの冷静さで淡々と事を運んでいく様は、派手さがない分逆にプロの技を思わせ、世界最高の殺し屋の名に恥じない存在感。

殺し屋と少佐は戦争中の知り合いなので、カサヴェテスだけが、ソフィア・ローレンの助けも借りて、着実に、一歩また一歩と真相に近づいていくことになります。

寸分の狂いもない完璧な計画(文字通りほんとに完璧)でパットン将軍に迫るマックス・フォン・シドー、ついに全てを悟り現場へと急行するカサヴェテス、車の助手席にはソフィア・ローレン。

そして、史実では自動車事故の日、運命の1945年12月9日がやってくる…。

 

ブラス・ターゲット [DVD]

[原題]Brass Target
1978/アメリカ/111分
[監督]ジョン・ハフ
[出演]ジョン・カサヴェテス/ソフィア・ローレン/マックス・フォン・シドー/ジョージ・ケネディ/ロバート・ヴォーン

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