『ボーン・アルティメイタム』(ポール・グリーングラス)

ボーン・アルティメイタム

「少し休め、疲れた顔してる」

『ボーン・スプレマシー』の時に、次は絶対劇場に行きますと書きましたが、予告通り行ってきました。

ジェイソン・ボーンも凄いですが、エシュロン凄すぎ(笑)
まずはこれが率直な感想。

個人情報保護法がどうのこうのと騒いでいる日本があほらしくなるくらい、プライバシーも何もあったものじゃない。
ヘタな言葉を喋ったり、メールに書こうものなら、日本の片田舎ということを差し引いても、30分もあればCIAが拘束しに来そうで怖い。

以前、4000カットという尋常ではないカット数についてのニュースに触れましたが、オープニングから“普通とは違う”というのは明らか。
アクション映画を見慣れていない方には、映像についていくだけでも精一杯かもしれません。

ただ、畳み掛けるようにカットを重ねようと、“見せるところは見せる”のがこのシリーズ。
今回も、たっぷりプロの技を堪能させてくれます。

しかも、プロの技というのが、“日常的”なのがこのシリーズの醍醐味。
一般人なら誰も持っていないような、凄い武器を駆使して戦うというのではありません。
確かに銃やちょっとした物も持っていますが、いざという時に決め手となるのは、どこにでもある普通のもの。

『ボーン・スプレマシー』では、雑誌とトースターを使った簡易時限爆弾装置が出てきましたが、今回はタンジールでの攻防でスプレー缶が活躍していました。

あと、前作までは、いかにジェイソン・ボーンが強いからといって、ちょっとCIA弱くない?という感じでしたが(一部手強いのもいましたが)、今回のタンジールの殺し屋はかなり強い。
最後はもみくちゃの接近戦になるところも、実際にああなるだろうなぁという説得力があります。

さらに、女性が絡んで来ないのもこのシリーズの素晴らしいところ。
協力してくれる女性も一応いますし、結構出っ放しですが、甘い描写は一切無し。
2の冒頭であっさりとヒロインを殺してしまったシリーズだけのことはあります。

ボーン・アルティメイタム ジュリア・スタイルズ

そして、冒頭の台詞。キターーーーー!!!
あれだけエシュロンが凄いのに、2回も後ろを取られるなよとつっこんではいけません。
決め台詞ですから(笑)

ボーン・アルティメイタム ジョーン・アレン

でも、途中でこの決め台詞を出してしまって、その後大丈夫なの?と一瞬不安に。

案の定、研究室に着いてから、ストーリー上しょうがないとはいえ、それまで続いていたテンションが落ち着き、ややトーンダウン。
さあ、どうやってあの2に負けないカタルシスを味わせてくれる?

杞憂に終わりました。
今回もラスト巧過ぎ…。

1を遥かに上回る2を作り、それに大満足し要求度が上がっているファンを3でもあっさりと満足させる、ポール・グリーングラス恐るべし。

傑作。

 

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[原題]The Bourne Ultimatum
2007/アメリカ/115分
[監督]ポール・グリーングラス
[出演]マット・デイモン/ジュリア・スタイルズ/デヴィッド・ストラザーン/ジョーン・アレン/スコット・グレン/アルバート・フィニー

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