エルンスト・ルビッチ第8弾。
第一次世界大戦前夜の花の都はパリ、気晴らしに知人のサロンを訪れたイギリスの外交官の妻マリアは、アメリカ人のホルトンと出会う。
二人は恋に落ち、名前を教えてくれない彼女を彼はエンジェル(天使)と呼ぶ。
その時はマリアもホルトンも知る由もなかったが、ホルトンは夫の古い友人だった…。
というわけで、ルビッチ監督必殺の三角関係が今回も展開。
例によって気のきいた台詞に溢れ、映さないことによって描く粋なルビッチ・タッチも健在。
今回は、『極楽特急』や『生活の設計』よりはコメディ色が薄れ、大人の三角関係にうっとりと見とれます。
夫がホルトンに久々に再会したことにより、彼を家に招待。
それによって、パリ中を探しても見つからなかったエンジェルに再会できたホルトン。
一人何も知らない夫を前にしての、マリアとホルトンの駆け引き。
夫を前にエンジェルの具体的特徴を言ってとホルトンに迫るマリア。
マリアを見つめながら違うことを言うホルトン。
ふとしたことから疑問に思った夫が、エンジェルを確かめにパリを訪れると…。
ニヤリとするラストまで、3人の駆け引きを堪能できます。
夫の執事として、ルビッチ作品の常連エドワード・エヴェレット・ホートンが今回も登場。いつものごとくいい味出してます。
そしてなんといっても、見所は主役3人のキャスト。
ホルトンに『ニノチカ』のメルヴィン・ダグラス、夫に『極楽特急』のハーバート・マーシャル、エンジェルことマリアに、当ブログでは『情婦』以来の登場となるマレーネ・ディートリッヒ。この豪華な顔ぶれ!
さすがに『ニノチカ』や『極楽特急』に比べると一段落ちますが、並のラブストーリーよりは遙かに面白い。
ルビッチ・タッチに酔いしれる日々は続きます。
[原題]Angel
1937/アメリカ/91分
[監督]エルンスト・ルビッチ
[出演]マレーネ・ディートリッヒ/ハーバート・マーシャル/メルヴィン・ダグラス/エドワード・エヴェレット・ホートン
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